元宮の名物である光のエレベーターを最上階まで上り、詩祈はドミニオン代表の部屋の前に仁王立つ。
先程までエレベーター内で外の景色を見ながら子供の様にはしゃいでいた人物と同一とはとても思えないような真剣なまなざしで彼女は代表の部屋の扉を見る。
彼女なりに代表に会うのは緊張があるのか、扉をじっと見つめ思考を巡らしている。
「扉がオーク製とか…代表って儲かるのかしら?」
しかしボソリと漏らした言葉は、緊張など微塵も感じない至極俗物な考えだった。
しかも扉の値踏みに飽きたのかノックもせずに「だいひょういるー?」などといった友人を遊びに誘うような掛け声と共にズカズカと室内へ入ってゆく。
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「そういえばねぇさん、最近BARを始めたみたいだけど何でいきなりBARなんか始めたんだ?」
薄暗がりの店内、店の名物の大桜に背を預けのんびりと和酒を啜りながら禅はピアノを奏で続ける詩祈へ問う。
室内を満たしていた緩やかな音楽は、詩祈の指先が垂れる事により事切れたかのように無音に支配される。
大桜が深々と花弁を宙にくゆらせる中、詩祈は静かにうつむき瞳を閉じた。
「簡単な事さね、私はある人の庭に惚れただけなんさ」
詩祈は何かを思いだすかのように大桜を見上げながら訥々と語り出した。
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カッ!!
禅「うお! まぶしっ!?」
???「ふっふっふー!マスター登録完了!けものみみゲットですよー!いやっふ〜!それじゃぁ勢いに乗って一気に転身しちゃいますよー マスターどうぞ〜」
詩祈?「いっくわよ〜 理々狩る本気狩るキルゼムオール!」
禅「何か色々と混ざって混沌とした呪文ですね・・・ まぁ皆殺しとはねぇさんらしいですが・・・」
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シフォンと別れ詩祈はまたも立ち尽くす。
依頼を受けるだけでこれなんて・・・
今まで分からなかった自分の過去、探そうとし続けていた自分。
「はぁ・・・ 紅翼め・・・ 何が別の人間に回すよ・・・ 思いっきり私専用の依頼じゃないのよ・・・」
普段から掴み所のない女だが、そのヒネクレ度は私を遥かに超越している。
まったく・・・ 螢慈さんも何であんな女がよかったのよ・・・
今はいない思い人を心に描き、しばしシフォンと名乗る女性について考える。
髪から体系、声質まであそこまで似られると狐につままれた気分だ。
双子はいつもあんな気分なのだろうか・・・
話された昔話に依頼。
どれも鵜呑みにするにはぶっ飛びすぎている。
なにさ、半心って・・・
しかし、それを戯言だと唾棄する事を拒否する心。
「何にせよ、自分の為にもこの依頼達成しないとね。それに・・・最初の仮面の男・・・シフォンの事を知っていたわね・・・この私に盾越しといえど一撃いれるなんて良い度胸じゃないのさ」
そう言うと、詩祈は喉を震わせるような邪悪な笑いを残しアップタウンに戻っていった。
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